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2023.03.15国立科学博物館 特別展「恐竜博2023」内覧会レポート

「恐竜博2023」が、国立科学博物館で3月14日(火)より開幕しました。世界初公開となる大迫力の全身骨格や、日本初上陸の美しく完全な保存状態の鎧竜の化石など、貴重な資料が集結。「攻め・守り」をキーワードに、恐竜の多様な進化を読み解く本展の見どころをご紹介します。

 

防御のために胴体に板状・トゲ状の突起や鎧を進化させた装盾(そうじゅん)類(剣竜類・鎧竜類)と、身体を大型化したり歯や爪を進化させたりしたティラノサウルス類やメガラプトル類などの肉食恐竜が比較されています。

 

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ヘテロドントサウルス 前期ジェラ紀、アシリサウルス 中期三畳紀、エオドロマエウス 後期三畳紀 すべて国立科学博物館蔵

 

最初の恐竜は、約2億3000万年前の三畳紀に出現。初期は小型で陸上生態系の中では脇役的な存在でしたが、やがて恐竜たちは世界中に分布を広げて多様化していきました。
当初の恐竜は肉食であったとみられ、後に植物食の恐竜の誕生によって恐竜の種類や個体数が一気に増えたと考えられています。

 

例えば背中に板を立てたヘスペロサウルスは、自分より大きな肉食恐竜への防御のため、体を大きくしたり、上から噛みつかれにくくする特長があったのではと考えられています。

 

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ヘスペロサウルス 後期ジュラ紀 福井県立恐竜博物館会蔵

 

本展のメインであるズールの化石は、頭骨から尾の棍棒(こんぼう)までが一緒に発見された、日本初公開の貴重な鎧竜です。鎧竜は、体の周りを硬い皮膚で覆っており、このズールは鎧には皮膚が、尾には棍棒を支える腱などの軟組織まで完全な状態の化石として残っています。本体の推定は全長6m、体重2.5t。

 

ズールの口先は幅広く、歯のないクチバシ状。吻部から頭部にかけて六角形の皮骨が並び、額に向かってトゲトゲとした凹凸が多くなります。

 

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ズール・クルリヴァスタトル(頭骨) 後期白亜紀 ロイヤルオンタリオ博物館蔵

 

胴体全体はトゲトゲした骨質のウロコからなる装甲で覆われ、肉食恐竜や仲間同士の争いからも身を守ったと推測されています。皮膚そのものも保存され美しい状態。

 

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ズール・クルリヴァスタトル(胴体) 後期白亜紀 ロイヤルオンタリオ博物館蔵

 

肉食恐竜のスネを破壊するほどの強力な棍棒をもつ尾。

 

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ズール・クルリヴァスタトル(胴体) 後期白亜紀 ロイヤルオンタリオ博物館蔵

 

ズールの種小名「クルリ」はラテン語でスネ、「ヴァスタトル」は破壊者を意味し、ズールと同じ地層からスネを骨折したティラノサウルス科のゴルゴサウルスが発見されていることから名付けられました。

 

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左/ズール 後期白亜紀 右/ゴルゴサウルス 後期白亜紀 すべてロイヤルオンタリオ博物館蔵

 

白亜紀歳末期の北半球で生態系の頂点に立った大型化したティラノサウルス類。世界初公開の「タイソン」と「スコッティ」2体が並んだ迫力ある全身骨格は見ものです! タイソンは全身の約300個のうち約59%の約177個の実物化石が発見された稀有なティラノサウルスです。

 

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手前/ティラノサウルス(タイソン) 後期白亜紀 タイソンティラノサウルス・レックス合同会社蔵 奥/ティラノサウルス(スコッティ) 後期白亜紀 むかわ町穂博物館蔵 ©Courtesy of The Royal Saskatchewan Museum

 

骨をも砕くティラノサウルスの顎は軽自動車の重さに匹敵するほどの力ともいわれ、口蓋や吻部、頭骨に空いた大きな穴によって分散され強大な力に耐えることができたそうです。

 

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手前/ティラノサウルス(タイソン) 後期白亜紀 タイソンティラノサウルス・レックス合同会社蔵

 

大きな前足は、可動域も広く獲物をしっかり運んで胸のところまで運べたことも想像されます。

 

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ティラノサウルス(タイソン) 後期白亜紀 タイソンティラノサウルス・レックス合同会社蔵

 

北半球のティラノサウルス類に対し、南半球ではメガラプトル類が頂点に立ちました。メガラプトル類は1億3000万年前に生息していたものの、約6600万年前の隕石衝突によって多種の動植物とともに姿を消したとみられています。
白亜紀後期のパタゴニア地方ではメガラプトル類の中でも最大級のマイプが登場し、推定の全長は最大で10m、体重は数t。鋭いカギツメをもっているのが特徴です。国立博物館とアルゼンチンとの共同調査で2022年に発見されました。

 

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メガラプトル 後期白亜紀 福井県立恐竜博物館蔵

 

約6600万年前の隕石衝突によって、ティラノサウルスやマイプのような大きな恐竜や、鳥類も多くが絶滅。5回目となる大量絶滅が最後の絶滅とされている中、現代はヒト以外の生物が絶滅し6回目の絶滅に突入したと考えられています。
NHKが制作した大迫力のCGではティラノサウルスやマイプといった恐竜たちの攻守や隕石衝突が描かれ、イメージが一気に膨らみます。

 

展示の最後にはインド洋のモーリシャスにかつて存在したドードーというハト科の複製が象徴的に展示されています。天敵がいなかったため飛ばない珍種のドードーは、人間がこの地に入るようになったことと、人間が連れてきた動物によって絶滅したといわれています。

 

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ドードー 現世 群馬県立自然史博物館蔵

 

展覧会を観終わったら、多彩なグッズが揃うショップへ!
ノートやクリアフォルダー、ボールペン、マスキングテームなどかわいらしいデザインのステーショナリーは性別・年代を問わず使えそうです。

 

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恐竜をモチーフにしたピアスやイヤリング、ネックレスはカラーバリエーション豊富。

 

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「ピアス・イヤリング」2,640円(税込)

 

多種多様な恐竜フィギアもずらり。

 

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春休みのお子さんと一緒に観覧するのにもぴったりな、好奇心をくすぐる恐竜博2023。リアルで貴重な化石や大迫力の全身骨格、そして前回の4年前からアップデートされた最新の研究成果をぜひ間近で観てください。

 

恐竜博2023
会期 2023年3月14日(火)~6月18日(日) ※会期等は変更になる場合があります
9:00~17:00(入場は16:30まで) ※ただし、毎週土曜日、4月30日(日)~5月7日(日)は19:00まで延長(入場は18:30まで)
会場 国立科学博物館
休館日 月曜 ※ただし、3月27日・4月3日・5月1日・6月12日は開館
料金(税込) 一般2,200円、小・中・高校生600円 
※本展はオンラインによる日時指定予約が必要です。詳細は下記公式サイトをご確認ください
https://dino2023.exhibit.jp(外部サイトへリンクします)
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

 

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