2014.11.26Special Interview「上野動物園、むかし・いま・みらい」

[第5回:上野動物園のみらい]
●恩賜上野動物園園長
土居 利光さん
●聞き手
佐藤 輝光(松坂屋上野店)

常に動物園のあり方を見つめながら、動物たちにとってよりよい環境の実現に向けて、進化し続ける、上野動物園。土居園長に、上野動物園の今後の展望について伺いました。
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■上野動物園がめざす、施設づくり


佐藤:上野動物園の今後について、園長は、どのようにお考えですか?
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土居:すでに設計図を描き始めているところですが、一つは、パンダ舎を西園に移転したいと考えています。理由は、子供が生まれた時に狭くなるから、それと、もう少し飼育施設として充実させたいからです。あと、変えたいと思っているのが、子供動物園。動物との触れ合いは、とても人気がありますが、単純に触るということだけで本当にいいのか、少々疑問に思っています。もう少し教育的な要素を盛り込んだり、きちんと解説したりする必要があるのではないかと。ただ単に触って、かわいい、ということだけだと、家でペット飼えばいいわけで、野生の動物を触ることで何がわかるのか、発見できるのか、動物園だからこそできることを取り入れていく必要があると思います。
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そういう新たなプログラムを施設改変のタイミングで、少しずつ取り入れていきたい。パンダ舎を移転したら、2020年のオリンピックまでには無理でしょうが、ゾウ舎も屋内のスペースを広くしたいですね。もちろん敷地に限りがあるので、何かをつぶして、新たに造るということの繰り返しですが、制約がある中で試行錯誤するのが仕事。そういうプロセスを経て、できる限りいいものをつくっていくというのが我々の使命であり、そこはしっかり取り組んでいきたいと思います。動物にとってよりよい環境を工夫しながら、人間と動物のあり方を考え直すような施設づくりをしていくのが目標です。まあ、設計図を描いた段階で、私は退職していると思いますが(笑)。

■ゆっくり観て、考える動物園


佐藤:今回、お話を伺って、いろいろな発見があり、改めて上野動物園に足を運びたくなりました。
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土居:とにかく、ゆっくり観てほしいですね。そうすれば、動物にはそれぞれ個性があって、面白いということがよくわかると思います。コアラだって、まったく動いてないように見えますが、1時間くらいじっと眺めていると、首の位置を変えたり、足を組み替えたり、ちゃんと動いている(笑)。ゆっくり観ると、面白い発見がいろいろあります。フラミンゴは片足で立っていますが、利き足があるのか、疑問に思いません?ゆっくり観察して、何日も通ってみて、どちらの足で立っているのか、本当に利き足があるのか、そもそもどうして立っているのか、そういうことをゆっくり考えて、自分なりの回答を導き出す。もちろんそんなことは、教科書に載っていません。寒さ対策だという人もいますが、それなら暑い季節には、二本足で立てばいい(笑)。私の見解では、片足で立っていた方が、バランスを取れば楽だからと思います。両足で立つと、真ん中に重心が来るように常に力を入れている必要がある。それだと大変なので、片足で立っているんだと考えています(笑)。まあ、そういう自分なりの回答を見つけ出すのも動物園の楽しさの一つです。いろいろ観ていると、疑問がわいてくるじゃないですか。ぜひ、そういう楽しみ方もしてほしい。いろいろなものを観て、常に疑問に思ったり、そこから何かを感じ取ったりするということを続けていないと、人間は感性が鈍ってしまいます。

佐藤:見方を変えると、見えるものも違って見えてきたりするものですからね。今回は、楽しいお話を、ありがとうございました。
(おわり)
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[第1回:変化する上野動物園]
[第2回:生態に応じた、先進の環境づくり]
[第3回:自然保護の象徴としてのパンダ]
[第4回:上野と上野動物園]

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