2016.05.30

Special Interview「魅力がいっぱい!上野公園」

[第5回:上野、変わるものと変わらないもの]

●建設局東部公園緑地事務所長 細岡 晃さん
●聞き手 佐藤 輝光(松坂屋上野店)

さまざまな人が関わり、つながる深い懐と広い間口を持った街・上野。多くの人に親しまれ、関わる人すべてが誇りに思える、そんな場所として上野があり続けていくための視座について、建設局東部公園緑地事務所長の細岡晃さんにお聞きしました。

※写真は上野恩賜公園PRキャラクター「うえのん」

 

 ■シビックプライドという概念

細岡:“シビックプライド”という言葉をご存知でしょうか。昔でいうと“郷土愛”みたいな意味合いですが、郷土愛というと出身地が前提条件になってしまうのですが、そうではなく、関わりのある人すべてが対象となる概念です。そこで働いている、また地域のために何かしら関わりを持って良くする活動に参加しているという当事者意識、あるいはその根底に流れる精神のことを“シビックプライド”という言葉で表わすそうです。上野でいえば、古くからある観光連盟の活動や上野の桜を守る桜守の活動、様々な文化プログラムなどに共感し、いろいろな場面で関わっていくということになるかと思います。そういう活動というのを外から眺めていると、ここの暮らしが面白く魅力的に見えるというのがあると思いますが、それこそが観光の根っこにあるもので、それを高めていくことが上野の観光価値の向上につながっていくと思います。僭越な言い方ですが、関わる方々が誇り高く楽しんでいる、ということが大事なのです。昨年の春から「うえのん」というキャラクターを使って上野の魅力向上に取り組んでいますが、この桜をモチーフにしたキャラクターは女の子で、誕生日が桜の開花日。だから、生年月日が毎年変わるんです。

ボッティチェリ展で活躍した「うえのん」※

彼女が園内の名所に出かけて行って、お客さんと一緒に写真に写ったり、先日は東京都美術館に行って、ボッティチェリ展の10万人目のお客様に記念品を渡す役目を果たしたりと、いろいろな場所で活躍しています。上野公園の魅力アップ事業に活用しようということで、今後も各施設と連携して、いろいろなことができればいいなと考えていますが、上野というのはハイレベルの芸術や文化がある場所にもかかわらず、こうした親しみやすいものも受け入れてくれる。そういう垣根のないところが魅力です。上野といっても、多くの人が多様な用途で利用していて、その誰でも受け入れてくれるところが、この街の活力の源になっていると思いますね。

 

■変わっていく、上野

佐藤:上野も、これからいろいろ変わっていくようですね。

細岡:大きいところでは、JR上野駅の公園口が変わります。駅が綺麗になるので、その周辺も、今後は変化を意識していかなければなりません。徐々に魅力を更新し、変わるべきものと変えないもののメリハリをしっかりつけながら、多くの人に親しまれる、関わった人が誇りに思える、そんな公園になっていくべきだと考えています。それこそが、シビックプライドということでしょう。出身地ではなくても、在勤在住、通りがかり、つまり誰でもよくて、この街をより良い場所にするために関わることでつながれる、そういうところです。古い街ほど、新しい人にとっては入りづらい雰囲気があったりしますが、上野は古い街にもかかわらず、いろいろ新しい人が入ってくる。そういう外に開いた雰囲気を持っている街です。東北と上野のつながりというのも、そういうところから生まれたものだと思います。上野は、関わりのある人すべての故郷であって、そういう概念で括れば、もっと魅力的で力強い街になっていくと思います。

佐藤:多様性やつながりがあるのが上野の強みだというのは、このコーナーで取材させていただいた方がみなさん、おっしゃることです。

おなじみの丸い石標

細岡:上野には変わるべきことと守るべきことがあって、その上野という舞台の上でいろいろな人たちが走り回っている、そういう活気のある場所ですね(笑)。

※写真は、うえのんFacebookより転載。

(終わり)

 

[第1回:上野公園誕生と、そこに込められた意味]
[第2回:世界が憧れる上野公園の桜]
[第3回:不忍池と蓮]
[第4回:想い出の上野]