2015.12.15

Special Interview「東京メトロと上野」

[第5回:未来に向けて]

●東京地下鉄株式会社 常務取締役 村尾 公一さん
●聞き手 佐藤 輝光(松坂屋上野店)

2017年(平成29年)に90周年を迎える、東京メトロ。未来に向けた新しい試みや上野の街との関わりなどについて、東京地下鉄株式会社常務取締役の村尾公一さんに伺いました。

■東京メトロ、次の一歩

佐藤:インバウンドの効果で乗降客数は増えているのでしょうか?

タイ語パンフレット「Tokyo Metro Guide」

村尾:訪日外国人の方だけでみると、毎年、30~40%くらい増えています。今後は、そうした訪日外国人のお客様たちをどう受け入れていくかについて考えていくことが課題だと思っています。多言語対応のウェルカムボードの設置や旅行者向けの企画乗車券販売、無料Wi-Fiサービス、グローバルサイトの開設、SNSによる情報発信など、訪日外国人を対象としたサービスの拡充を図っていますが、今後はそうしたものがスタンダード化していくでしょう。

緊急時の対応など、図解でわかりやすく解説した冊子-「安全ポケットガイド」英・韓・中-

 

タイからの旅行客も増えてきているので、グローバルサイトにタイ語の案内を掲載しました。ロンドンなどは、他言語対応が進んでいますが、東京もいずれそうした環境になると思います。

 

 

 

東京メトロ銀座線1000系車両

安全や省エネに関しても、技術は日進月歩で、現在、東西線の高架部分の屋根に太陽光発電を設置して、駅施設の電源として利用しています。また、走行車両がブレーキをかけると発生する回生電力を駅施設に活用する装置を8箇所で採用しています。今後は、そういったことを取り入れながら、更にサービス水準の向上をめざしていきます。

 

佐藤:東京オリンピック・パラリンピックに向けて、何か具体的な取り組みはされるのでしょうか?

村尾:2014年9月に「東京メトロ“魅力発信”プロジェクト」を策定し、オリンピック開催都市の重要な交通インフラと位置づけ、“東京の案内役” “東京圏の交通ネットワークの中核”としての役割を果たし、安全性やサービス水準の向上はもちろん、東京メトロをより楽しくご利用いただくため、2014年度から2020年度にかけて総額4,000億円の設備投資を行います。プロジェクトの実行に際しては、内部の体制を整えると共に、国や東京都、沿線地域の皆さんとの連携・協調も大切にしていきたいと考えています。

■上野の街と共に

村尾:地下鉄の上野駅は、1927年(昭和2年)に営業を開始して、2017年(平成29年)12月30日には、90周年を迎えます。上野を創業の地として“上野の街の地下一階”ということを意識しながら、上野の地域の皆さんと連携し、特徴ある駅づくりに取り組んでいきたいと考えています。2013年(平成25年)に駅デザインコンペを実施したのですが、新しい上野駅のデザイン案を多くの方からご応募いただきました。それらのデザイン案を参考にして、2015年(平成27年)より駅の改装工事をスタートし、2017年(平成29年)に上野駅、2019年(平成31年)には上野広小路駅の改装を完了する予定です。

駅デザインコンペ・下町エリア募集ポスター

 

佐藤:どんなデザインになるのですか?

村尾:まず上野駅ですが、上野の街の背景となっている美術館、桜を表現し、ホームは開業時のクラシカルな雰囲気を醸し出すよう演出します。コンコースについては、柱や天井などに文化施設や華やかな街並みをやさしく包む桜舞う木立、並木を表現すると共に、古くから残る構造躯体を遺構ディスプレイとして間接照明でライトアップして展示する予定です。一方、上野広小路駅ですが、コンコースは百貨店やジュエリー店のきらびやかさ、演芸場や呉服店の魅力的な織物に多用されている文様の華やかさなどを用いて、上野の街の賑わいを表現します。また、浅草方面ホーム階から地上までエレベーターを設置し、両ホームのエレベーターでワンルート化を図るなど、利便性の向上にも配慮します。

佐藤:新しい上野の顔として、今から楽しみですね。本日はどうもありがとうございました。
(おわり)

※写真は東京地下鉄株式会社よりご提供いただきました。無断転載を禁止いたします。

[第1回:地下鉄誕生秘話〜その1]
[第2回:地下鉄誕生秘話〜その2]
[第3回:上野広小路駅と松坂屋上野店の意外なつながり]
[第4回:上野の街と共に]