2017.06.01

Special Interview「上野のお宿と街の、今昔物語。」

[第4回/上野の変化とともにあるホテル旅館業]

●上野ホテル旅館組合 組合長/渡辺 定利さん
●聞き手/山田 諒典(松坂屋上野店)

上野の旅館業は、それぞれの時代に訪れる宿泊客のニーズに応じて変化してきました。上野のホテル・旅館のありようの変化について、上野ホテル旅館組合の組合長・渡辺定利さんにお話を伺いました。

 

■旅が変わる、宿が変わる

山田:上野の旅館業は、訪れるお客さんの変化に即して形を変えてきたというお話でしたが、具体的にはどういうことなのでしょうか。
渡辺:上野の旅館はもともと商人宿で、商用で宿泊するお一人様向けのビジネスホテルが多かった。朝夕二食が求められれば、一泊二食付きのプランを提供し、朝食だけでいいなら一泊朝食付き、朝食も必要ないならお茶だけ、というようにニーズに応じてサービス内容を変えてきました。次第に観光目的の宿泊が主流になり、2人、4〜5人のグループが増えてくる中で、部屋の形態も予約が取りやすい宿泊プランに変えてきました。いちばん顕著なのは、3.11の東日本大震災以降、親子連れで来られる方が増えたことです。小さなお子さんを連れて家族3人でいらっしゃる、あるいは母子2人添い寝で泊まるというような家族単位の宿泊客が増えました。6歳以下は宿泊料金がかからないので、うちのホテルでは、ツインベッドをつないでズレないように縛って、家族が川の字になって寝られる「川の字プラン」を設けています。

ホテルニューウエノ「川の字プラン」

震災がきっかけで家族のあり方が見直され、一緒に過ごす時間や想い出をつくろうという気持ちが強くなったのでしょうね。お父さんは毎日、家族のために仕事をしているのに、家にいられない、一緒に旅行にも行けない、思い出づくりもできない。それでは、何のために働いているのかわからないし、そもそも家族のためになっていないじゃないかと、そう気づいたのでしょう。やはりスキンシップをたくさんとって、自分も子育てに参加するというところに戻った。家族連れの宿泊が増えたのは、いい傾向だと思います。これからは旅の楽しみというのが拡散していくのではないかと思っています。

 

■ホテルが足りない!?

山田:最近、上野も海外からの旅行客が増えていますが、宿泊としても多くなっているのでしょうか。

渡辺:ホテルによって、日本人と海外旅行客の割合はまちまちですね。インバウンドが9割というところもありますが、うちみたいなホテルは、日本人が8割。とりあえず、上野のホテルは今、どこもいっぱいという状況です。2016年の訪日外国人旅行客が2400万人を超えて、その半分以上が東京に訪れていて、一人当たり約3.3泊するそうです。東京にはホテルや旅館など、泊まるところはいろいろありますが、述べ8万人分と考えると、宿泊施設は足りないというのが現状です。

※組合のホームページ http://uenostay.com/

そうなると、2020年の東京オリンピックに向けて合法的な民泊も含めて、宿泊施設が必要になります。それゆえ政府も大田区に特区を作って民泊を推進しているのでしょうが、一方で、保健所や消防署に届出を出さずに潜りで営業している違法民泊もあって、それが問題になっています。宿泊施設が不足する中で、合法的な民泊と違法民泊の切り分けはきちんとしていく必要があるでしょう。宿泊者の安全と衛生を守るためにどのように対策を講じていくのか、それが今後の課題になっていくと思います。

(つづく)

 

※上野ホテルズ:上野周辺の44軒(2017年6月1日現在)の宿泊情報、お得な情報、エリア・イベント情報を紹介しています。是非ご覧ください。

[第1回:上野ホテル旅館組合の創立と活動]
[第2回:上野の旅館業の変遷〜その1]
[第3回:上野の旅館業の変遷〜その2]
[第5回:2020年東京オリンピック後の上野に向けて]